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秋の北東北04・・・十和田観光電鉄「レトロ電車」撮影記 [鉄道旅行記]

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2011.11.03~05
秋の北東北04
十和田観光電鉄「レトロ電車」撮影
  

北東北を訪れている、秋の鉄道旅。前回からの続きです。
二泊三日の今旅。初日は田沢湖線で紅葉の「こまち」を撮影、二日目は陣場でのブルトレ撮影に五能線の全線乗車と、ここまで北東北の鉄道旅を存分に満喫しています。そして三日目は青森駅からスタート。実は今旅いちばんの目的は、この三日目にありました。

11月5日(土)
青森0754-(青い森566M)-三沢0910

青森から東北本・・・もとい、青い森鉄道の普通列車に乗って向かったのは、三沢。青森県三沢市と言えば、日本で唯一、民間、航空自衛隊、アメリカ空軍の三者が使用する飛行場、「三沢飛行場(三沢基地)」が有名な飛行機の町。市の玄関となる青い森鉄道の駅前にも、飛行機のオブジェがあります。

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昨年、東北本線から移管された青い森鉄道。
ゆるキャラ「モーリー」が描かれた701系に乗って、三沢へ。
11.11.5 青い森鉄道 三沢

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飛行機のオブジェが立つ、青い森鉄道の三沢駅。
11.11.5 青い森鉄道 三沢

飛行機好きならば知らない人はいないであろう三沢ですが、今は鉄道好きの間でもちょっと注目を集めることになっています。その理由は、この三沢を起点とする「十和田観光電鉄」の存在。十和田観光電鉄線、通称「十鉄・とうてつ」は三沢と十和田市を結ぶ、路線総延長わずか14.7キロのローカル私鉄。名前に「観光」とはつけられているものの、十和田湖や八甲田山などの観光地へ直接向かうわけではなく、メインルートの東北線(現・青い森)沿線から十和田市へのアクセスや、沿線に多く存在する学校の通学路線という役割が強い、地域密着型の路線です。しかし近年は沿線住民の高齢化や道路整備による鉄道離れ、さらに昨年の東北新幹線全線開業で十和田市の玄関口が三沢駅から新幹線の七戸十和田駅になったことなどを受けて、十鉄の利用者は著しく減少。また、東日本大震災の影響で鉄道事業の赤字を補填してきた観光・レジャー部門の利益が悪化したことなどを理由に、十鉄の鉄道線は残念ながら来年三月末を持って廃線となることが決定してしまいました。

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立派な青い森鉄道・三沢駅のロータリー脇にあるのが
十和田観光電鉄の三沢駅。
矢印に沿って駅舎奥の細い通路を入ってゆきます。
11.11.5 十和田観光電鉄 三沢

そんな十鉄、私が乗ったのは今から16年前のたった一度だけ。もちろん全線完乗の乗りつぶしが目的で、まだ健在だった「南部縦貫鉄道」を野辺地から七戸まで乗り通した後に、七戸から十和田市へバスで出て十鉄に乗るというルートでした。しかし、そのとき初めて見た南部縦貫のレールバスに感激した私は、カメラに入っていた36枚撮りフィルムすべてを南部縦貫で使い切ってしまい、十鉄の写真は一枚も残せませんでした。その頃は東急のお古(3600形)を使っている十鉄を撮るよりも、一枚でも多くレールバスを・・・などと思ったのでしょうね。まさに銀塩カメラ時代ならではの思い出です。さらに、記憶に新しいところでは昨年の12月。東北新幹線の全線開業に合わせて青森を訪れた際に、せっかくなら久しぶりに十鉄へ寄って、今度こそ写真を・・・という計画を立てました。ところが、前日に見学予定だった青森県立美術館が展示換えで見ることができず、急遽、翌日の十鉄を蹴って、美術館の方を選択してしまったのです。その後に発表された十鉄廃線決定の報・・・このままサヨナラでは悔いが残ります。廃線が決まったから訪れるなんて、まさに典型的な「葬式鉄」ですが、もう一度全線に乗って、今度こそしっかりと写真に収めたい。そこで今旅のラストは十鉄へ訪問することを決めたのです。しかもこの日は、旧型電車(レトロ電車)が特別運行されるなどのイベントが予定されているので、そちらも合わせて楽しみたいところ。さっそく三沢駅窓口で一日乗車券を購入して、十鉄の電車と久々のご対面。

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ホームに停まっていたのは元・東急7700系で、
十鉄でもそのまま7700系を名乗っています。
助手席側窓部には「がんばろう!東北」の張り紙が。
11.11.5 十和田観光電鉄 三沢

16年前は元・東急3000系列の3800形が赤白の十鉄カラーに塗られて活躍していましたが、今の主力は同じ東急の中古車でもステンレス製、VVVFインバータ制御の7700系。ステンレス無地に細い赤帯の外観は、東急時代とまったく変わっていません。面白いような、つまんないような・・・。そういや最近、夏の伊賀鉄道や先日の秩父鉄道など、地方私鉄で東急の中古車に乗る機会が多いなぁ・・・。今回は訪問を見送りましたが、同じ青森の弘南鉄道でも元・東急の7000系や6000系(予備)が活躍していますね。やはり中古車でもステンレス製の東急車は人気が高いのかな・・・。

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東急時代に7000系を車体更新・VVVF化して誕生した7700系。
運転台はワンハンドルタイプ。

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東急の中古車ではお約束の吊り手広告。
この7700系は渋谷の文化施設「Bunkamura」の文字が残されていました。

三沢で発車を待つ十和田市行きの電車。二両編成の車内は座席がほぼ埋まる程で、廃線が決定した地方私鉄とは思えない盛況ぶり・・・ですが、そのうちの八割、いや九割は私と同好の士。つまり鉄です。前述したようにイベントでレトロ電車が走るこの日、きっと惜別乗車をかねて訪れるファンは多いだろうと思っていたので、これは想定内。むしろ、一見して「それ以外」の一般客が見当たらないのが気になります・・・。ほぼ鉄の貸切状態となった十和田市行きは定刻に三沢を発車。「鉄の貸切」なんて書くと、最近はマナーの悪い人達が騒いだり、車内を走り回るようなイメージがありますが、この電車ではいたって静か。皆さん流れる車窓を眺めながら、十鉄の乗り心地を噛み締めるように、味わっている様子。十鉄沿線の車窓は特に素晴らしいというような見所はなく、列車は農村地帯が広がる長閑な風景のなかをひた走ります。晴れていれば車窓から八甲田山が見えるようですが、この日は曇り空。16年前は雪が降っていた覚えがあるので、私にとって十鉄の車窓から見る八甲田の眺めは、幻のままとなりそうです。

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素朴な景色の中に伸びる、十鉄の線路。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百-古里(車窓から)

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名物駅名の「ふるさと(古里)」駅。
日本のふるさと風景を走る鉄道が今、消えようとしています・・・。
11.11.5 十和田観光電鉄 古里(車窓から)

古里付近から線路は県道に沿うようになり、駅名にも「三農高前」や「北里大学前」、「工業高校前」と学校が目立つようになって来ました。今の十鉄にとっていちばんのお得意様は学生。廃線後、ここの学生たちはどうやって通学するのだろうかと思いますが、並行する県道を路線バスが走ることになるのでしょうね。沿線風景は農村地帯から十和田市内の住宅地になり、三沢から30分弱で終点の十和田市着。

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前方に見えてきた十和田市駅。
改札は左手の大きなショッピングセンター内にあり、
ホームとは道路をまたぐ連絡通路で結ばれている
ちょっと変わった構造の駅。
ホームは一面一線ですが、奥に一編成分の留置スペースがあり、
7700系の姿が見えます。
11.11.5 十和田観光電鉄 十和田市(車窓から)

三沢1020-(十鉄109)-十和田市1047

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ショッピングセンターの二階部分にある十和田市の改札口。
しかし現在はそのショッピングセンター自体がほぼ閉店状態。
立派な駅ビルはひっそりとしています・・・。
11.11.5 十和田観光電鉄 十和田市

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十和田観光電鉄の終端部。
留置されている7700系を間近に見ることができました。
11.11.5 十和田観光電鉄 十和田市

十和田市での持ち時間は、今乗ってきた電車が折り返すまでのわずか13分。おそらくこれが最後の十和田市駅訪問になる可能性が高いので、もっとゆっくりといろんなところを見ておきたかったのですが、列車を一本逃すと次は一時間半後。それではレトロ電車の撮影が間に合いません。慌しいけれど、改札口や終端部の写真をサッと撮ってから、再び同じ電車に乗って十和田市をあとにします。折り返し三沢行きとなった電車に揺られ、途中の七百(しちひゃく)まで戻ってきました。

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こじんまりとした待合室だけの七百駅ですが、
ここには十鉄の車両基地が併設されています。
左の閉じられたシャッター内が検修庫。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百

七百駅から線路沿いに歩いて、レトロ電車が撮れそうな場所を探します。もちろん七百などで降りたのは初めてで、撮影地に心当たりがあったわけではありません。しかしこの日のレトロ電車のイベントスケジュールは、まず三沢~七百で運転された後、いったん七百の車両基地に入庫して車両撮影会が行われ、さらにそのあとで残りの七百~十和田市が運転されるという、途中で撮影会を挟んだ変則的な三沢~十和田市の片道営業運転(回送も含めれば往復になるのだけれど)。そこで、七百の駅周辺で走行写真を撮って、そのまま撮影会にも駆けつけようという目論見です。

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まずは7700系。
このアングルで見ると、十鉄の7700系には
スノープラウが装着されていないのがわかりますね。
同じ雪国を走る弘南や北鉄の7000系には大きなプロウが
付けられているのに・・・案外、十和田は雪が少ないのかな?
11.11.5 十和田観光電鉄 柳沢-七百

七百駅の柳沢寄りには田園地帯が広がっていたので、撮影地探しには苦労しませんでした。先客の脇へ低めに入れさせていただき、ローアングルで狙います。広角レンズで空を多めに入れたいところですが、曇り空が寒々しくて残念。やがてカーブの先から、ステンレスではない、懐かしい色の電車が現れました。

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先頭に立つのは、自社発注・十鉄オリジナルの3400形・モハ3401。
片側二つ扉にバス窓が並ぶ、今では貴重なスタイルの電車です。

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後ろの二両目は、
こちらも懐かしい元・東急3000系列の3600形・モハ3603。
そういえば、最近ではこんな風に乗務員扉を開けて
乗り出す車掌さんの姿も見かけなくなった気がします・・・
これもレトロ電車ならではのパフォーマンス!?
(・・・まさかね ^^;)
11.11.5 十和田観光電鉄 七百-柳沢(後追い)

そうこれこれ、この色。16年前に撮りそこなったのは、この赤白の塗装を纏った電車でした。懐かしいなぁ・・・。廃線前に十鉄オリジナル塗装の電車を一枚でも残せてよかった。さらに、後ろを務めていたのは元・東急3000系列の3600形。以前はこの電車も赤白の十鉄色でしたが、定期運用を離脱してイベント車となった際に、東急時代のグリーンへと戻されました。グリーンの3000系というと目蒲線や池上線で活躍していた頃を思い出します。名車と名高い「青ガエル」5000系に比べて、地味な印象がある3000系。よくぞ今まで生き残ったものだと思いますが、廃線後はどうなるのでしょう? できれば東急に里帰りさせて、保存してもらいたいものですが・・・難しいのでしょうね。

うまく両側の顔を撮影できたことに満足。撮影地から七百駅に戻り、今度は撮影会の方へ参加します。参加といっても、条件は当日有効の乗車券を持っていれば誰でも撮影会場へ入ることができ、一日乗車券を持っている私は、もちろんそれでOK。

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先ほど走行写真を撮った3401+3603のレトロ電車が展示。
3603はきれいな形式写真が撮れましたが、残念ながら3401は撮れず・・・。
できれば、もっと3401のお顔が見たかったところ。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百車両区

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3600形が十鉄へ譲渡される際に増設された運転台側。
単行での運転も可能になっています。

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時間を区切って入換え。
今度は十和田観光電鉄の車両が横並びで勢ぞろい。
趣向を凝らした撮影会でファンを楽しませてくれます。
左から7700系、7200系、3600形。

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ここでちょっとした「お遊び」が。
なんと7700系が表示したのは、東急時代の「自由が丘」行き。
自由が丘の幕が入っていることに驚き!∑('◇'*)

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上の三形式並び、中央の間の抜けた顔はいったい何者・・・?
と思われた方、実はコレ7200系の増設運転台側なんです。
反対側は「ダイヤモンドカット」と呼ばれたオリジナル顔が健在。
並びでは逆向きなのが惜しい・・・。

いちばん撮りたかったモハ3401の顔が撮れなかったのはちょっと残念でしたが、それでも充実した内容に大満足。それにしても三形式の並びは十鉄というより、ほとんど東急の撮影会ですね。まさに一昔前の奥沢か雪が谷のような光景です・・・(^^;)。でもそんな楽しみ方も今の十鉄ならでは。庫内で整備中の7200系も状態が良さそうで、こちらの走行シーンも見てみたかったところです。

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電車の他に、電気機関車ED30 1とED40 2も重連で展示されました。
貨物は既に廃止となっていますが、この機関車は車籍を有しており、
今でもイベントなどで本線を走行することがあります。

車両撮影会は一時間ほどで終了。多くのファンが集まって大盛況でしたが、首都圏開催のような混雑はなく終始まったりとした雰囲気で、撮りたいアングルも自由に選ぶことができました。撮影会を終えたレトロ電車は再び入換えをして本線へと戻り、残りの七百~十和田市の運転へ備えます。

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運転に備えて七百のホームに入線したレトロ電車。
先ほどと同じくモハ3401が先頭です。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百

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発車まで時間があったので、ちょっと車内を覗いてみました。
モハ3401の車内は、二つの扉間に長いロングシート。
冷房も扇風機も無い天井はスッキリしていて高く感じます。

このあとはレトロ電車の「乗り鉄」、もしくは先回りしてもう一度走行シーンを「撮り鉄」・・・と、まだまだレトロ電車イベントを楽しむことができるのですが、私はここでお別れ。三沢経由で東京へと戻ることにします。もう撮影はじゅうぶんにできたし、これからさらに十和田市を往復していたら、東京へ着く時間が遅くなってしまいます。十和田市から七戸十和田へバスで出て、新幹線に乗るってルートもあるけれど、調べてみたら七戸十和田に止まる新幹線は少なく、三沢から八戸へ出た方が効率が良くて早い。

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レトロ電車と交換するように入ってきた、三沢行き。
この電車に乗って、十鉄の旅を締めくくります。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百

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今回使用した一日乗車券と、イベントで販売されていた記念きっぷ。
また、普段は無人駅の七百では切符売り場がないため、
この日は特別に係員が車内補充券で対応していました。
一日乗車券を持っていれば必要ないのですが、
記念に一枚欲しくて、古里までの区間を購入してしまいました。

久しぶりに訪れた十和田観光電鉄。16年前の記憶で覚えているのは、不思議な駅ビルの十和田市駅と、雪の積もった「古里」駅の駅名板、そして赤い電車に乗ったことくらいで、車窓風景の記憶はかなり乏しい。その頃は、またいつでも乗りに来られるという思いから、サッと流すように見ていたのでしょう。今回あらためて乗り直して、もうこの風景を見ることは無いと思うと、車窓を見る目にも自然と力が入ってしまいました。でも、本当は何も考えずに、ぼーっと車窓を流すくらいに乗れていた頃の方が、十鉄の印象として心に深く刻まれているような気がします。16年前と違い、今回はいろんな写真をキッチリと残せたけれど、私の記憶に残る十鉄の情景は、雪の日に十和田市駅で待機していた赤い3600形のままかもしれません。おそらく、もう私が乗る機会は無いと思いますが、十鉄には最後の一日まで事故無く走り通してほしいと願っています。

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素朴な東北のローカル私鉄「十和田観光電鉄」
その鉄路に終止符が打たれる時まで、あと残り四ヶ月・・・。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百-柳沢

七百1355-(十鉄116)-三沢1406

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三沢から乗った青い森鉄道の普通列車には
アテンダントさんが乗務していました。
記念に一枚、写真をお願いしたら
「ひとりじゃ恥ずかしいから、モーリーと・・・」
という、ちょっとおちゃめな方でした(^^)
11.11.5 青い森鉄道 八戸

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旅のシメは駅弁で乾杯!
八戸で買った「南部いなか御膳」弁当。
御当地モノを使用した幕の内弁当風ですが
おかずの種類が多くて、酒飲みには嬉しい。
半分は酒のツマミに、半分をごはんのおかずにしてもじゅうぶん。
☆☆☆・・

三沢1439-(青い森572M)-八戸1459~1606-(はやて32号)-東京1908

長々と続けてきた秋の北東北・鉄道旅はこれで終了です。紅葉の方は見頃を過ぎて、思うような写真が残せませんでしたが、温泉に五能線、ブルトレ撮影や十和田観光電鉄訪問と、充実した鉄道旅を楽しむことができました。本業の方が慌ただしくて更新が遅くなってしまい、既に旅を終えてから二週間以上が経ってしまいましたが、写真を見返しながら旅行記を書くという作業は、旅に出ている感覚が蘇ってきて楽しいものですね。しかし、そんなさなか「来春のダイヤ改正で寝台特急「日本海」の廃止を検討」との一報が入ってきました。寝台特急はいつ無くなっても不思議は無い、撮れるときに撮っておく・・・とは言っていたものの、やはり現実味を帯びてくるとショックが大きいです。今旅では二日目の朝に撮った「日本海」。「また「トワガマ」か・・・」などと嘆いていましたが、もはやそんな贅沢を言っている場合では無く、「日本海」最後(になるかもしれない)の秋を陣場で記録できただけでも大きな収穫でした。



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